日本蘇生協議会について

概要

一般社団法人日本蘇生協議会(Japan Resuscitation Council:JRC)の最も大きな使命は、心肺蘇生法に関する世界的なガイドライン作成における日本の窓口として2000年から国際蘇生連絡委員会(International Liaison Committee on Resuscitation, ILCOR)に参画しアジア地域をまとめて国際コンセンサス (International Consensus on cardiopulmonary resuscitation and emergency cardiovascular care Science with Treatment Recommendations , CoSTR: 心肺蘇生法の各国ガイドラインの基になるエビデンスを集約したもの) CoSTR作成に参画し、JRC蘇生ガイドラインを世界共通のレベルで、策定、公表することである。本会は、この使命を達成するため、救急蘇生科学に関する学理及び応用について研究、知識の交換、会員相互及び内外の関連諸団体との連携協力等を行うことにより、救急蘇生科学の進歩と発展を図り、もって我が国における蘇生教育の啓発・普及並びに安心で安全な市民生活の創造に貢献することを目的とする。本会の発展と向上のために、国内外の心肺蘇生法に関する情報収集や的確な状況把握が不可欠であり、日本での蘇生科学の研究・発展・蘇生法普及と同時に、アジアの蘇生科学の進歩を世界に向けて発信する役割が必要である。その実現のため以下の事業計画を作成している。

  1. 国際蘇生連絡委員会との連携・協力に関する事業
  2. 救急蘇生科学の国際交流に関する事業
  3. わが国における蘇生教育の啓発・普及に関する事業
  4. わが国の救急蘇生科学研究の国際的協力等に関する事業
  5. 必要な出版物、電子媒体の刊行、公表に関する事業
  6. その他この法人の目的を達成するために必要な事業
  7. その他事業の目的を達成するために必要な事業

設立への沿革

2000年国際ガイドラインがILCORにより作成されることが決まり、1998年に帝京大学岡田和夫教授にILCORから招待状が送られてきた。また加入を勧める連絡も届いたため、日本での対応が求められた。Hong KongのDr. Mike Moles博士が1999年5月10日~13日に大阪千里で開催される世界災害・救急医療機構(World Association for Disaster and Emergency Medicine:WADEM)に市民の蘇生法教育に係っている各国重鎮が参加するので、日本のILCOR加入について会合を持ってはどうかと示唆された。そこで、日本救急医療財団が中心になり、蘇生に関係している日本麻酔科学会、日本集中治療学会、日本救急医学会、日本蘇生学会の方々に声を掛けて参加を依頼した。岡田和夫教授(帝京大学麻酔学教室:日本蘇生学会事務局長)から呼びかけがあり、1999年5月10日にILCORとの Meetingが大阪サンパレス「桜草の間」で開催された。日本側代表者、岡田和夫、美濃部嶢(日本救急医療財団常務理事)、新井達潤(日本蘇生学会代表)、田中経一(日本麻酔科学会)、野々木宏(日本集中治療医学会)、土居弘幸(厚生省医政局指導課課長補佐)等が出席しDr. Moles博士の司会でILCOR設立、運営に関係深い海外からのWADEM参加者と話し合いを持つMeetingの開催が催された。

個々での議論を受けて、1999年7月16日に日本救急医療財団の心肺蘇生法委員会第一回委員会でこの委員会をAHA(米国心臓協会)やILCOR、またPARC等にも対応しなければならないためにJRCとして独立の組織とすることが、土居補佐の示唆で決定した。

その後、一財団の委員会が、国を代表する協議となることは馴染まないとされ、財団に資金がないこと、理事会、評議員会に問題を全て図る必要があること、また、学術団体の代表が集まって組織すべきとの意見が出され、同委員会がJRCとなる案は否決された。

2001年7月16日第13回の心肺蘇生法委員会で、財団の委員会とは独立して岡田和夫委員を中心にJRCを設立することが承認された。

2002年1月18日日本学士会館にて第1回日本蘇生協議会(JRC)委員会が、12団体および関連3団体により開催された。この日をもって日本蘇生協議会(JRC)の設立日とすることになった。

その後の活動概略

JRC設立当初は心肺蘇生法委員会の海外窓口として機能する立場に徹し、ILCORへの加盟を特命として、蘇生関連の研究会やガイドライン作成委員会に参加するなど、約2年間に渡り積極的な活動を展開した。しかし、厚生労働省、日本医師会等が加盟し、わが国の救急蘇生に関する事業を統括する日本救急医療財団が、蘇生教育の国際標準化を推進するILCORに加盟することは、理念や規約になじまないとの結論に至り、同財団から独立することとなった。2001年7月には日本救急医療財団から正式に独立し、学術団体および日本医師会、日本赤十字社、消防庁などの蘇生事業を推進する関連団体で構成される日本蘇生協議会(JRC)として発足した。

JRCはその後ILCORへの加盟を準備していたが、ILCORが2002年に加盟単位は単一国家ではなく地域の代表であるべきであると定款を変更したため、2005年7月にJRCが中心となり アジア蘇生協議会(Resuscitation Council of Asia :RCA)が設立され、2006年にはRCAが正式にILCORの加盟団体となった。2010年のILCORの蘇生ガイドラインの元となる国際コンセンサス(CoSTR:Consensus on Science with Treatment Recommendations)の作成からは、日本蘇生協議会が中心となったアジア蘇生協議会がILCORの正式メンバーとして国際コンセンサスの作成に関わり、日本蘇生協議会としても日本国内向けにも2011年には「JRC蘇生ガイドライン2010」を、さらに2015年CoSTR作成に6名のTask ForceメンバーをJRCから派遣し、2016年には「JRC蘇生ガイドライン2015」を出版した。(出版物案内の項目を参照。)

さらに2015年12月には日本蘇生協議会が中心となって、アジア蘇生協議会として初となる「RCA Adult BLS algorithm for lay rescuers」を発表している。(お知らせの項目を参照。)

蘇生に関するトレーニング

JRCは、国際標準化した救急蘇生教育を普及する団体として全世界で唯一科学的根拠と膨大な研究データに基づいて構築されていたアメリカ心臓協会(American Heart Association:以下AHA)の蘇生教育を日本で普及するため2003年7月に参画団体と学会から10名の指導者候補を米国のインストラクターコースへ派遣し、指導者資格を獲得し、その後JRC-ITOとして国内における蘇生教育の普及啓発に成果を上げた。その後、AHAがITCとして、各学会や団体へその範囲を拡大する際に、それぞれの団体に役割を委ねJRCとしてはAHAトレーニング組織としての任を終了した。

AHAの蘇生教育については、社員である日本循環器学会、日本麻酔科学会、日本ACLS協会、日本小児救急医学会などが、日本国内での教育を行っている。

AHAの蘇生教育普及によって、社会的ニーズの高まりと国内での統一された教育レベル達成のために、市民レベルの教育から医療サイドの教育までと幅広い対応が行える体制を整えることが出来るようになった。組織的にも行政機関で蘇生にかかわる省庁と連携して、日本国内で広く心肺蘇生教育を行っている日本赤十字社が日本蘇生協議会の社員となっていることで、市民への一次救命処置(Basic Life Support,:BLS)が統一された。また、医学系学術団体(日本内科学会、日本救急医学会等)の加盟により医師が行うべき二次救命措置(Advanced Life Support:ALS)、医師が行うべき小児への二次救命措置(Pediatric Advance Life Support:PALS)の講習を有機的に統一することが実現しつつある。

またJRCでは、専門医への教育として心拍再開後ケアトレーニングを開発し、トレーニングマニュアルの出版及びトレーニングコースの開催を日本循環器学会とその関連学会を中心として開催している。今後、JRCガイドラインによる様々なトレーニングの普及啓発が求められてくると考えられる。

JRC沿革 補遺

1.設立:2002 年 1 月 18 日日本学士会館にて第 1 回日本蘇生協議会委員会が、12 団体および関連 3 団体により開催された。この日をもって JRC の設立日とすることになった。(日本学士会館開催、事務局岡田会長兼任)
2.2003年度第3回JRC会議 2004年3月8日 日本麻酔科学会事務局 事務局長野々木先生その後事務局長交替、事務局移転
3.事務局移転 2006年 山口大学医学部麻酔・蘇生学講座内 事務局長田中先生
4.日循からのJRC代表 小川理事から笠貫理事へ
  2008年の5月 事務局移動 公益財団法人 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院
5.JRCの常任理事として、新たに野々木先生、坂本先生、相引先生、永山先生が就任
  2009年3月19日、I-ReSS終了後に大阪にて開催された2009年度第一回常任理事会
6.一般社団法人 2014年10月2日 代表理事 野々木先生 事務局長永山先生

略語

ITO :International Training Organization(国際トレーニング組織)
ITC :International Training Center(国際トレーニングセンター)