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JRC蘇生ガイドライン 2020

JRC蘇生ガイドライン2020「その生命を繋ぎ止めるために」

救急蘇生の現場を支える基本のガイドラインが5年ぶりの改訂

お待たせいたしました。JRCホームページで公開していました「JRC蘇生ガイドライン2020」オンライン版(パブリック用)への皆様からのご意見を参考にさせていただき、「JRC蘇生ガイドライン2020」書籍版(最終版)が医学書院様から発刊されました。
「その命を繋ぎ止めるために」、ぜひ救急蘇生の現場でご活用下さい。

JRC 蘇生ガイドライン 2020(医学書院)


序言(JRC蘇生ガイドライン2020 発刊に寄せて)

 日本蘇生協議会(Japan Resuscitation Council:JRC)は、JRC 蘇生ガイドライン2020 のパブリックコメント用のドラフト版の一部(急性冠症候群)を2020 年10 月22 日にILCOR のCoSTR2020 とともに同時発表した.本来は、全ての作業部会のドラフト版を発表する予定であったが、COVID-19 による感染対策のため、多くの作業部会員が対策の第一線で懸命な診療にあたり、ガイドライン作成の作業が遅延した。それでも遅々たる作業が続いたが、多くのメンバーにより徐々に完成が近づき、このたび全てのドラフト版の公開に至った。編集委員、作業部会の皆様方の尽力に感謝したい。

蘇生ガイドラインはエビデンスに基づき国際標準化された世界でも数少ないものであり、それには国際蘇生連絡委員会(International Liaison Committee on Resuscitation :ILCOR)のこれまでの活動によるところが大きい。 ILCOR は2005 年に“心肺蘇生に関わる科学的根拠と治療勧告コンセンサス(Consensus on Resuscitation Science and Treatment Recommendations:CoSTR)“を発表し、このCoSTR に基づき、各地域や国の実情に合わせてガイドラインが作成された。その後ILCORとその参画蘇生協議会は5年ごとにCoSTRとガイドラインを発表してきた。

わが国の心肺蘇生の普及には,欧米の取り組みに比べて約30年の遅れはあったが、進歩はめざましく、遅れを取り戻すに至った。その要因には、日本蘇生協議会(Japan Resuscitation Council:JRC)の設立、日本を中心としたアジア蘇生協議会(Resuscitation Council of Asia :RCA)の設立とILCOR への加盟、CoSTR 作成への関与、市民への自動体外式除細動器(AED)使用の解禁などの蘇生活動による救命意識の向上、さらには地域ウツタイン登録から全国登録による院外心停止大規模データベース解析からの国際発信、またそれを支える科学研究費による支援、そして体温管理療法や胸骨圧迫のみのCPR に関するわが国からの発信などが挙げられる。これらの活動をもとに、わが国においても2010 年、2015年と国際連携による世界標準のJRC 蘇生ガイドラインを作成することが可能となった。

2017年にILCOR は迅速な対応をするため方針を以下のように変更した。

重要なトピック毎にエビデンスの網羅的検索(SR)と評価が行われ、その結果は、解析チームによりその都度論文化し、作業部会(タスクフォース)によりCoSTR作成が行われる。1年毎にCoSTR集として発表されることになり、5年を待つのではなく重要なトピックについて迅速な勧告がなされることになった。このILCORによるCoSTR発表を受けて、その都度ガイドラインを改訂する(update)方法と、これまで通り5 年毎に改訂する方法のいずれを選択するのかは各国あるいは各地域の蘇生協議会の判断に委ねられることになった。また2015年から採用された国際的なガイドライン作成方法であるGrading of Recommendations Assessment, Development and Evaluation システム(以下GRADE)は2017年以降も継続して使用されることになった。

JRC は、RCAの方針に沿ってその都度のCoSTRを翻訳し、内容についてJRC の解釈を加え、ガイドライン変更の必要性をホームページで公開することとした. その理由として、ガイドラインの作成とその実践にかなりの時間、努力およびリソースが必要であること、また、ガイドラインの頻繁な変更によって生じる可能性のある混乱を考慮した。最終的にはこれまで通りJRC ガイドラインの発刊は5 年毎に行うことにし、今回の2020 年ガイドライン作成に至った。

ILCOR では触れていないが、脳神経蘇生、急性冠症候群を2015 年に引き続き取り上げ、更に今回から妊産婦蘇生を加えた。

本ガイドラインを、わが国での救命率のさらなる向上のために、蘇生科学の進展、市民と医療従事者への心肺蘇生の標準化と普及啓発に役立てていただくことを切望する。COVID-19感染対策で多忙を極める中、日夜問わずガイドライン作成にご尽力いただいた、編集委員をはじめとした作成委員の先生方、外部評価をいただいた学会からの専門委員、市民代表委員、法律家、利益相反委員、御指導いただいたGRADEワーキンググループのメンバーである相原守夫先生はじめGRADE エキスパートの先生方、またGRADE Tokyo CenterとなったMINDSの先生方のご指導に感謝申し上げる。また、JRC 事務局として長年支えていただいた公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院の五十嵐久美子様に深謝致します。

2021 年3 月

一般社団法人日本蘇生協議会代表理事
JRC 蘇生ガイドライン2020 作成編集委員長

野々木 宏

 
※ JRC蘇生ガイドライン2020ドラフト版の公開を終了いたしました。
  ガイドライン2015はこちら → JRC蘇生ガイドライン2015